川合優 静謐
川合優 静謐
2021年 2月11日 ( 金 ) - 2月27日( 日)
open 10:00 - 18:00
close Wednesday
在廊2月11日(金)
online 2月23日(水) 10時 - 2月27日(日) 17時
山や海、森や川、またそこに住む植物や動物を、ひとことで言い表すことのできる言葉「自然」。
そのあまりにも慣れ親しまれている「自然」という日本語は実は、明治の後半になりようやく生まれた。英語のネイチャーや、フランス語のナチュールを日本語に訳すとき、それらに当てはまる日本語がなく外来語の訳語として「自然」という言葉は作られた。
しかし、「自然」という日本語は、それ以前からあった。「ジネン」と発音する言葉として。
では、「ジネン」とはどういった言葉なのだろうか?
自然という言葉を分解してみると「自(おの)ずから然(しか)り」となる。
これを私は「(自我や作為が無く)ただそこにあること、あるもの」と理解する。
人は遥か昔より、自然とともに暮らしてきた。
しかしそれは、現代的にいう人間の対象物としての自然ではなく、人間と同様にただそこに或り、そしてただ無くなってゆくものとして。
その時代の人間と自然の間には、明確な境はなく、緩やかに溶けて混じりあっていただろう。人と自然は、同じものだったのだ。
「無境」
ものを作る上で、忘れてはならない事のように思う。